無蔵水

出典: 沖縄事典

伊平屋島

無蔵水(むぞうみず)

むかし、田名村にいた若い夫婦の話。  ある夏、夫は小舟(くり舟)で田名岬の沖へ約りに出て、にわかに起こった風波に流されてしまいました。2~3年の間行方がわからず、村の人々はもう死んだものとあきらめました。 村一番の美人だった妻は縁談がひきもきらず、両親も再婚をすすめましたが、妻は「夫はきっと生きている。帰るまで待ちます。」そして毎日、夫が消えた沖合の見える、小山ほどの大岩の上で帰りを待ったのです。この岩のてっぺんにある周囲6メートル、深さ50センチの不思議と決して涸れない水たまリが無蔵水。愛を涸さず待ったかいあって数年後、夫は元気で妻の待つ島に戻りました。その後2人は仲睦まじく家を興し、立身出世しましたとさ。めでたしめでたし。  当時の村の人々は妻の貞操をたたえ、女性たちへの教訓歌を作り残しています。